虎の巻「危険の体感と発見の授業」


子どものための危険学

危険の体感と発見の授業

授業内容 と実施方法)

 

身のまわりの危険に気付き、

避ける力を身につけよう

体感  




アンケートに答えると 授業内容と実施方法の資料をダウンロードができます。

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目      次
1.はじめに
2.授業内容の概要(4項目)
2-1「子どものための危険学」導入授業
2-2「デンジャラスたんけんたい」の歌とおどり
2-3 粘土の「手や頭」を使用した危険を体感する実験
2-4「デンジャラスたんけんたい」として身のまわりの危険を発見し地図に記載
3.授業の実施方法
3-1 授業の対象・時間 及び 実施時の大人の必要人数
3-2 大人の人員構成例
3-3 タイムスケジュール例
3-4 スケジュール 及び 実施内容詳細
4.補足:授業実施前に準備するもの
4-1「導入授業」「歌とおどり」で使用する資料
4-2 粘土の手と頭 及び 割りばし
4-3「デンジャラスたんけんたい」の探検範囲の見取り図


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先生と子どもがいっしょに
・粘土等を使った実験で、身のまわりの
危険を体感しよう
・「デンジャラスたんけんたい」となって、身のまわりの
危険を発見してみよう

デンジャラスたんけんたいの「でんちゃん」

1. はじめに


私達危険学プロジェクトでは、「子どもにとって、『滑った、転んだ、すりむいた』 のような痛い思いの体験は、 成長に必要なこと」だと思っています。 しかし、骨折や、一生残ってしまうような怪我や、命に係るような事故は、 ぜひ防ぎたいと考えています。そのような、 いたましい事故を少しでも減らすため、以下の二つの方法を提案しています。
@子ども自身に、危険に気付く力をつけてもらう (4歳児ぐらいから可能)
A保護者が、子どもが起こしやすい危険について知り、防ぐための行動を行う
この「危険の体感と発見の授業」は、上記@を目的として「身の回りにある 危険について、実感が湧くように理解させ(危険の体感)、 子どもが自主的に危険に気づくことの大切さを知らせ(危険の発見)、 子ども自身が危険を避ける力を身につけ、子どもが安全に状況に対応したり、 扱ったりできるようになるための授業」です。 現在の日本では、身の回りの製品も、建物や設備も、基本的に安全に配慮されたもの となっています。しかし、どんな製品や設備でも「絶対の安全」は、 有り得ません。使い方を誤ったり、無理な使い方、不注意な接し方をすると、危険な 事故になってしまいます。「どのようにすると危険になってしまうのか?」を、 体感をもって認識することは、事故を防ぐ上でとても大切です。


2. 授業内容の概要(4項目)


2-1 「子どものための危険学」導入授業


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「読み聞かせ絵本 あぶない!きけん!」「冊子 子どものための危険学」 「映像 再現実験」を基に、パワーポイントで資料をうつしながら、どこが、 どのようにあぶないのか、子ども達に教える導入授業です。


2-2 「デンジャラスたんけんたい」の歌とおどり



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「映像 歌とおどり」の振り付けに合わせて、 全員で元気よく踊ります。これから「身の回り の危険を見つけるぞ!」いう、わくわくした雰囲気を 作ります。


2-3  粘土の「手や頭」を使用した危険を体感する実験



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大人が、子ども達の目の前で、 粘土で作った手をドアに挟んだり、粘土の頭を「カド」のあるところに落としたりする実験等を行います。
子ども達は、挟むことや、「カド」にぶつかることの危険を体感します。

2-4 「デンジャラスたんけんたい」として身の回りの危険を発見し地図に記載


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子ども達はチームに別れ、 「デンジャラスたんけんたい」として園内や校舎を歩き、どこがどのようにあぶないのか想像しながら 危険の発見 を行い、見取り図に記載します。最後に見取り図を見ながら「 ふりかえり」 を行い、危ない内容の確認を行います。

 

幼稚園・保育園・小学校で、この 「危険の体感と発見の授業」を行う場合、子ども達の状況、身のまわりの環境に応じて、実験内容や、 危険の発見の場所を、適宜変えて下さい。

  但し、どのような場合でも、「子ども自身が、どのように危険なのか危険を体感し」さらに 、「子ども自身が、どこにどのような危険があるか危険を発見する」ようにしてください。そして「子ども自身が、危険に気付く力をつけられるよう」 指導してください。

 



3.授業の実施方法


3-1 授業の対象・時間 及び 実施時の大人の必要人数


・授業の対象


幼稚園・保育園の4歳児以上から、小学校低学年児童が対象です。

2クラス、約60人を、合計4つのチームに分けて実施する場合を想定しました。


・授業の時間


  1時限分(50分)の授業として実施する場合(Type1)と、

2時限分(90分)の授業として実施する場合(Type2)とを想定しました。


  ・実施時の大人の必要人数


 1時限分(50分)の授業(Type1)の場合、先生を含めて 6人


2時限分(90分)の授業(Type2)の場合、先生を含めて 8人


   保護者の一部に手伝ってもらい、 他の保護者には見学してもらうと、

効果的な授業となります。

 

3-2 大人の人員構成例(2クラスで合計約60人として、15人の4チーム構成)


  担   当

Type

Type

必 要 備 品 等

実験担当者

2人

4人

Type1は2実験、Type2は4実験

チーム引率者

4人

4人

たんけん時は子どもの指摘をメモする

合計必要人数

6人

8人

全体解説者は上記担当の誰かが兼ねる

3-3 タイムスケジュール

 

   内   容

Type

Type

必 要 備 品

「子どものための危険学」

導入授業

10分

15分

パソコン、プロジェクタ、スクリーン、マイク、スピーカー

デンジャラスたんけんたい 歌と踊り

 5分

10分

パソコン、プロジェクタ、スクリーン、マイク、スピーカー

粘土の「手や頭」を使用した

危険を体感する実験

10分

20分

粘土(手、頭)、割りばし

「デンジャラスたんけんたい」として、身のまわりの

危険を発見し、地図に記載

及び ふりかえり

   予備

17分

 

 

8分

25分

 

 

15分

 5分

画板、見取り図、マークシール、

ポストイット

    合 計

50分

90分

 

3-4 スケジュール及び実施内容詳細

(↓はType1の経過時間)                                     Type1  Type

0:00 「子どものための危険学」導入授業             10分) (15分)

・授業の目的説明:危険に気づくことが大切        ○    ○

・読み聞かせ絵本 はさんで「ばたん!」部分       ○    ○

・読み聞かせ絵本 ころんで「ごちん!」部分       ○    ○

・読み聞かせ絵本 おっこちて「どしん!」部分      −    ○

・冊子こどものための危険学 「遊び場 つっこむ」    −    ○

・冊子こどものための危険学 「自転車 ぶつかる」

事故の再現実験「自転車 衝突」           ○    ○

・冊子こどものための危険学 「エスカレータ たおれる」

事故の再現実験「エスカレータ 転倒」         −    ○



図_x0020_4114 図_x0020_4115 図_x0020_4116

読み聞かせ絵本 はさんで「ばたん!」

読み聞かせ絵本 ころんで「ごちん!」

読み聞かせ絵本 おっこちて「どしん!」

図_x0020_4119 図_x0020_4118 図_x0020_21

冊子子どものための危険学「遊び場 つっこむ」

冊子子どものための危険学「自転車 ぶつかる」

事故の再現実験「自転車 衝突」

図_x0020_4117 図_x0020_25

冊子子どものための危険学 「エスカレータ たおれる」

事故の再現実験「エスカレータ 転倒」

 

子ども達に、どこがどのようにあぶないのか、考える「導入部」となるよう

説明します。

 

0:10 デンジャラスたんけんたいの「映像 歌とおどり」を   (5分) (10分)

        見ながら、皆で歌に合わせておどる。        おどり1番 1〜3

図_x0020_29 図_x0020_28

映像 歌とおどり

授業での様子 歌とおどり

子どもをひきつけ、楽しくわくわくさせる歌とおどりです。 画面に映しながら行うと、全く初めてでも、子ども達はすぐに楽しくおどれます。 「デンデンデンデン デンジャラス」という基本のリズムと共に「危ない所を探してみよう」 「あった あったよ大発見」等、身の回りの危険を、元気にわくわくしながら 見つけようという雰囲気になります。

 



0:15 15人程度のチームに別れて、危険を体感する実験 

   (担当:各実験担当者1名x実験数 、各チームの引率者1名xチーム数) 

Type1)「挟む」、「落とす」の2実験(10分)          ○    −

Type2)「挟む(2種)」、「落とす(2種)」の4実験 (20分) −    ○

(以下はType2の場合の4実験の事例です)

@ 重たいスライドドアに、「粘土の手」と「割りばし」を挟む実験

Picture_x0020_2 Picture_x0020_3 図_x0020_2060

重たいスライドドアに「粘土の手」や「割りばし」を挟んで、カウントダウンして バタンとしめます。グニャっとつぶれて破断した「粘土の手」や、折れた「割りばし」を見て、 子ども達は、重たいスライドアの持っている危険を体感します。

「粘土がこのようになってしまったけど、これがみんなの手だったらどうなってしまうかな?」

「粘土は、また元に戻せるけど、みんなの手はそうはいかないよね」

「友達がいるときにドアをしめる場合は、ゆっくりと、手なんかが挟まらないことを確認してから、しめるようにしよう」     

A 「カド」に、「粘土の頭」をゴツンと落とす実験

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階段の「カド」の上に、「粘土の頭」を カウントダウンして落とします。「粘土の頭」は「カド」にゴツンとぶつかって、 粘土にすごい跡が付きます。子ども達は、「カド」の持っている危険を体感します。子ども達は、 滑ったり転んだりぶつかったりは、普段の遊びの中で当たり前に体験します。 でも実験により、「カド」に頭をぶつけると大変なことになることがしっかりと理解され、 注意すべきこととして身につきます。

子ども達への説明:

「粘土がこのようになってしまったけど、これがみんなの頭だったらどうなってしまうかな?」

「つまずいて転んだとき、カドがあるものに頭をぶつけると、大変だね」

「カドがあるもののそばでは、ふざけっこは、しないようにしよう」

 

B ドアに、「粘土の手」と「割りばし」を挟む実験

_x0000_s1063 円_x002f_楕円_x0020_2068 _x0000_s1064 Picture_x0020_4 図_x0020_2065

片開きドアのヒンジ側の隙間に「粘土の手」や 「割りばし」を挟んで、カウントダウンして、バタンとしめます。ペッチャンコでヨレヨレ になってしまった「粘土の手」や、折れた「割りばし」を見て、子ども達は、ドアの隙間の 持っている危険を体感します。 友達が、ドアの隙間に手を入れているとき、ドアを不注意にしめたら大変なことになることが、 体感として理解され、自分自身でも手を挟まないように、注意すべきこととして身につきます。


子ども達への説明:

「粘土がこのようになってしまったけど、これがみんなの手だったらどうなってしまうかな?」

「粘土は、また元に戻せるけど、みんなの手はそうはいかないよね」

 

 C高い所から、「粘土の頭」を落とす実験
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跳び箱の上から「粘土の頭」 をカウントダウンして落とします。すごい音がして、「粘土の頭」は、ペッタンコになってしまいます。 子ども達は、高い所の持っている危険を体感します。

子ども達は、ある程度の高さからなら、 安全に飛び降りることはできます。でも、高い場所でふざけたり、ぶつかったりして、 頭が先に落ちるようなことが起こると、大変危険であることを体感として理解します。 そして、高い場所での注意力が身につきます。

子ども達への説明:

「粘土がこのようになってしまったけど、 これがみんなの頭だったらどうなってしまうかな?」

「もうみんなは大きくなったので、 この跳び箱から、『よーし、とびおりるぞ』というふうには、飛び降りることはできるよね。でも、 この上で、お友達とぶつかってしまったり、ふざけたりして、はずみで落っこちると、ひどいけがをしてしまいます」

「高い場所では、ぶつかったり、ふざけたりしないようにしましょう」

 

0:25 「あぶない場所を見つけてみよう」 (デンジャラスたんけんたい)の実施要領を説明   2分)

子ども達への説明:

「いまから、みんなで 『あぶないとこは、どこかな』『さがしてみーようデンジャラス』という、 デンジャラスたんけんたいをしてもらいます。」

「挟んだら、いたそーな所、 ぶつかったら、いたそーな所、落ちたりしたら、いたそーな所、指をつっこんだら抜けなくなったり、 指をケガしそうな所、つまずきそうな所、皆さんが、あぶないなー と感じる場所を見つけてください。」

「あぶない場所をみつけたら、 引率の大人の人に説明し、見取り図に、マークシールを貼り、どこがどのようにあぶないのか 書き込んでもらいましょう。」

「それでは、これから 探検をはじめますので、私が「いくぞー」と言ったら、

みんなで「おー」といってね。

いいかい?『デンジャラスたんけんたい、いくぞー』」  子ども達『おー』

 

0:27 デンジャラスたんけんたい                                Type1 Type2

子ども達がチームに別れ、「デンジャラスたんけんたい」  (15分) (23

として園内や校舎を歩き、どこがどのようにあぶないのか

想像しながら危険の発見を行い、見取り図に記載します。

図_x0020_2072 _x0000_s1058 Picture_x0020_4

子ども達は、実際に触れてみたりしながら、 危ない所を探してくれます。その中で、普段接している物でも間違った使い方や、 不用意な使い方をすると、危ないことが分ってきます。チームを引率する大人は、 事前に「探検範囲の見取り図」を準備しておきます。子ども達が、危ない所を見つけると 、子どもに、「どこが、どのようにあぶないのか」説明してもらい、子どもと共に見取り図に マークシールを貼り、ポストイットに簡単に内容を記載します。

0:42 チームごとに集まって、「ふりかえり」          (8)  (15)
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最後に、チームで見つけた危険な場所について、 見取り図を見ながらふりかえりを行い、皆で共有します。 自分自身や、友達が見つけた危険な場所は心に残りますし、“どのように危険かを 考えながら物に接し、危険に気付く力を身につける”ことになります。

 

0:50  全員で再集合して、まとめ、終了挨拶。

「皆さんの『デンジャラスたんけんたい』 のおかげで、このような危険地図ができました。でも、今日見つけた危ないところも使い方に気を 付ければ大丈夫だし、今日みんながシールをつけなかったところも、使い方次第で危なくなってしまう こともありますから、自分でよーく考えましょうね。」

終了

 

4.補足:授業実施前に準備するもの


4-1 「導入授業」「歌とおどり」で使用する資料


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「子どものための危険学」のホームページ(http://kikengaku.com/public/)の「絵本・冊子のダウンロード」「映像 事故の再現実験」「映像 歌とおどり」から、画像や映像をダウンロードして、 「導入授業」「歌とおどり」で使用する資料を作成してください。新設の「危険の体感と発見の授業」から、 「本紙(授業内容と実施方法)」と共に、「導入授業」「歌とおどり」にそのまま使用できる、 パワーポイントの例(虎の巻)もダウンロードできます。ダウンロードは無料です。

4-2 粘土の手と頭 及び 割りばし


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粘土は、1袋300gの物が一般的です。
・粘土1袋で、子どもの手が1つ、作成できます。
・粘土7袋で、子どもの頭が1つ、作成できます。
子ども達の前で実験する場合、一度に実感を持って見られるのは、10〜15人です。
1チーム 10〜15人で構成してください。
対象の子ども達が、60人ならば、4回実験できるよう、4個ずつ作ります。
割りばしは、粘土の手と同数、準備します。
粘土・割りばしは、必要に応じて、予備も準備しておきます。

 

 

4-3 「デンジャラスたんけんたい」の、探検範囲の見取り図


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見取り図は、平面図だけではなく、左図のように、壁、出入り口、 窓などが記入された展開図の方が、危険な場所を書き込みやすくなります。

見取り図は、画板等に貼ると、歩きながら記入できます。

書き込むとき使用する、カラーの「マークシール」と、内容書き込み用の「ポストイット」も準備してください。 

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以上


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